明日へ

 

いつか、目と鼻の先数ミリの未来を見ていたいと、そう話したけど、

それは僕らにとって難しいことだったみたい。

彼にとってだけじゃなく、僕にとっても。

やはり少し僕らは、頭が良すぎるみたいだ。

 

世界には、なんて沢山の悲しみがあるのだろう、と思う。

そしてそれらを目の当たりにして、

どうして人々は普通に生活ができているのだろう、とも思う。

 

僕らが敏感すぎるのか、

それとも彼らが鈍感なのか、

あるいはその両方なのか。

 

僕らは、少なくとも僕は一生懸命その悲しみから目を背けようとしてきた。

できるだけ取り込まないようにして、考えないようにして、

けれどそれでも無理だった。あまりにも多すぎるからだ。

僕は苦しい。息ができない。頭を掻きむしって地を這うような思い。

 

で、彼と話し合って決めた。

きちんと絶望しようって。

絶望して、諦めるのはもうしょうがないから、

どうせならきちんと真面目に絶望しようって。

 

いつか、僕ら壊れてしまうと思うんだ。

もうとっくに壊れてしまっているかもしれないけど。

それでも、僕らは僕ら以外の何者にもなれない。

数多の悲しみに対峙して、絶望することしかできない。