Dear black who wanted to be white but couldn't,

 

黒い羊、っていう欅坂46の曲があって、結構有名なヤツなんだけどさ。

「白い羊なんて僕は絶対なりたくないんだ」っていう黒い羊と、

「自らの真実を捨て白い羊のふりをする者」っていう黒い羊と、

大きく隔てて2つのタイプの黒い羊が登場してくるわけですよ。

 

で、まあ、深刻なのはわかるのだけど、

僕はあんまりこの2つのタイプの黒い羊の心配はしていなくて。

もちろん沢山の苦しみはあると思うのだけど、

比較的大丈夫な人たちじゃないですか、彼ら彼女らは。

 

自らが黒いという事実を真正面から受け止めて、

それと共に生きていく覚悟ができている人たち。

自らの真実を捨て去って白い羊と完全に同化し、

黒い羊を見つけ指をさして笑うことさえできてしまう人たち。

 

どっちもすごいよ。本当に。

だって生きていけてるもん。

どっちもそれなりにしんどい日々なのかもしれないけどね。

 

僕が一番たいへんだなあ、と思うのは、

そしてできることなら救い出してあげたいと思うのは、

白い羊のフリをしようと一生懸命なのになれなくて、

むしろその営みのせいでかえって自分が黒い羊であることを

よりはっきりと認識させられてしまい、絶望しているような、

そういう、黒い羊。

 

ありのままの自分を受け入れることもできなければ、

なりたい自分に近づくこともできない、黒い羊。

彼ら彼女らの方がずっと苦しい、ずっとしんどい。

黒い羊たちの中で一番苦しんでいる人たち。

 

最近、そういうことを色々考えてると、

世の中にはそういう人たちの唄がないんだなって気づいた。

ある種当たり前か、とも思う。

みんな自分の考えを、自分を受け止めているから声が上げられる、

誰かを否定することができる、唄うことができるのだものね。

 

でも、本当に唄を必要としているのは、そういう人たちじゃないかな、って。

僕はシンガーソングライターでもアイドルプロデューサーでもないけど、

もし僕だったら、そういう唄をかきたいです。

そういう人たちを少しでも救ってあげたいです。

 

大変な世の中だけど。